遠隔妊婦検診のための超音波診療RT


遠隔操作で健診できる超音波診断ロボット(Youtube 神奈川県PRページより)


高齢出産のようなハイリスク出産が増加している一方で、産科医師及び医療施設数は減少傾向にある。これにより、医師はより高い医療技術が求められることに加え労働時間の長時間化といった過酷な労働環境を強いられ、妊婦には健診のための長い移動時間、平均待ち時間といった負担がかかっている。そういった妊婦を取り巻く医療環境を改善することで、少子化対策への起爆剤となることが期待できる。

そこで本研究室では、2013年度より、“遠隔操作及び自動検査が可能な妊婦超音波検査支援ロボットの研究・開発”を行っている。妊婦健診の重要な項目である超音波検査を医師の代わりに実施可能なロボットテクノロジー(以下、RT)システムの開発により、病院での待ち時間の短縮や離島・僻地の妊婦健診等様々な場面での活躍が期待できる。また、検査技術の支援により医師の熟練度に関わらず正確な検査が行えると考えられる。

試作1号機では並進方向2軸、煽り、回転の4自由度を搭載し、腹部への押し付け方向に関しては一定以上の荷重がかからない設計とし、超音波プローブの過度な押し付けを防ぎ、母体と胎児への安全性を確保している。ユーザーインタフェースとしては、超音波映像と妊婦のカメラ映像、操作部分をタブレットの同一画面上に表示させることで、医師はリアルタイムで胎内の超音波映像を観察しながら超音波プローブの操作を行う機能を実装した。状況に応じて超音波映像と妊婦映像を切り替える機能も搭載することで、医師が見たい映像をより拡大することができる。

図1 Tenangのハードウエアと操作インタフェース


病院に来ることが難しい妊婦への遠隔診断の際には、インターネット回線を介して映像を医師に伝送すると同時に音声でのやりとりも同時に行うことで、医者が妊婦とコミュニケーションを取りながら、診断をより精確かつ円滑に実施する効果が期待できる。つまり医師と妊婦が直接対面していない状況においても、診断が可能となるのである。

一方、自動検査は従来の血圧計のように病院での健診の待ち時間に妊婦自身でスクリーニング検査(簡易検査)を行えることを目指している。妊婦が待ち時間を有効活用できるだけでなく、医師も事前に取得した超音波映像のデータを隙間時間で診断し、対面診断の際に必要に応じて精密な検査をすることが可能となるため診断の効率化が見込める。

今後はロボットの改良および、診断支援のソフトウェア開発を行っていく予定である。

図2 Tenangによる遠隔妊婦健診システム