バスケットボールのフリースロー技能習熟支援RT


<研究目的>

図 1 フリースローを構成する4つの主な動作


図 2 開発したデバイス

近年、デジタル技術を駆使してスポーツ技能を支援する装置が発売されつつある。しかし、世界的に見ても競技人口が多いバスケットボールを支援する装置は少ない。さらに、数少ない装置も大掛かりなものが多く、実用には向いていないものばかりである。

そこで、バスケットボールの中でも重要なスキルであるフリースローの支援を行う小型で使いやすい装置の開発を行った。


<研究内容>

研究方針

過去の文献を調査し、元全日本ヘッドコーチの意見も取り入れつつフリースロー技能向上のために必要な重要となるポイントを調査した結果、フリースローを構成する4つの動作のうちセットにおける体姿勢が重要だと結論付けた。初心者は熟練者と比較してセットフォームがばらつく傾向にあり※1、安定したセット・フォームを習熟することでフリースロー技能は向上する。矢状面と前額面の肩関節角度が毎回一定の範囲内に入るようにすることでセット・フォームの安定化を図った。

※1 安松谷ら. バスケットボールのシュート時の熟練者と初心者の全身フォーム比較分析学習支援環境の設計. 和歌山大学システム工学科, 2011年.

システム構成

本装置は3軸の加速度センサと2軸の角速度センサを併用することで2軸の角度変化をリアルタイムに計測可能な角度センサとArduino Uno(マイコン)で構成されており、計測した結果をエクセルで表示可能なcsv形式で保存をする。また、Bluetoothを利用してタブレットと無線通信をしており、装置の操作は全てタブレットで行うことが可能である。装置使用方法は装置を装着してセット状態になるとその体姿勢が適切な状態かどうかを装置が自動判定する。適切でない場合には音がでて、音が鳴らない位置になるように装着者に姿勢を変更させることで理想的なセット・フォームを獲得する。


<成果と今後の展開>

バスケットボール初心者を対象に実験が行われている。これまでの試験の結果を簡単にまとめると以下のようになる。試験は装置をつけて音による介入が行われる介入群(7名)と装置を装着するが音による介入が行われないコントロール群(7名)に分けて行った。両群ともに介入前後にPre, Postとして15本ずつシュートを行い、介入期間に10本×3フェーズのシュートを行った。

試験の結果、介入群の方はゴールに入った割合とリングに当たった割合を合わせた成功率がコントロール群に比べて約20%向上した。

今後は他のスポーツでも本手法を活用することで、フォーム矯正を行い、技能向上をさせることが可能であると期待される。

図 3 シュート成功率の推移