知能化建機ロボット


従来の無人化施工では,カメラが固定されているため,死角が問題となっていた.それに対処すべく,環境カメラを建機の動きに追従させる半自動制御手法を開発した.これにより,死角が減少し,操作者が望む映像を広範かつ多彩に提供できるようになったが,どのカメラ映像のどの部分をどのように見ればよいかを操作者が判断する必要があるため,認知的負担が懸念される.そこで本研究では,状況に適した映像や領域に自然に視線を誘導し,認知的負担を軽減することを目的とした注視支援システムを開発する.


動画1 遠隔建機操作における注視誘導システム


建設機械の作業は複雑であるため,時々刻々と変化する状況に応じて,多くの映像の中から適した映像と領域を選択し,瞬間的に解釈するためには,長年の経験と認知的負荷を要する.このとき,システム側から積極的に見るべき映像と領域,解釈方法を提示できれば,長年の経験と認知的負荷がなくても,効率的かつ安全に作業を行えるようになると予想される.

図 1 注視誘導システム

従来研究としては,アイマークレコーダーを用いた無人化施工における視線分析の報告があるが,いずれの研究も提示映像の視認性に関する調査が目的である.一方,本研究では,それぞれの状況において操作者がどの映像をなぜ見ているかを明らかにし,安全かつ効果的に作業を進めるために注目すべき「カメラ映像およびその領域」,さらに「その領域の注視目的と解釈方法(どこがどの程度危険かを見る,軌道を追うなど)」をシステム側が提案する点が今までにない新しいポイントである.映像選択の負担を減らし,映像の解釈方法を補助できるため,開発済みの環境カメラの半自動制御システムと連動して,システム全体の有用性を高めると考えている.

具体的な手法としては,作業時(ものをつかもうとする時)には手先をズームした詳細映像が有用であると考えられるため,その映像に視線を誘導するために緑のフレームをつける.また,遠近感を把握しやすくするようにグラップルの先端から地面に垂直にアローを表示する.接触の可能性がある場合は,危険な部分を映した危険映像に視線を誘導するため,危険の程度に合わせてフレームを変更する.接触の可能性がある場合はオレンジのフレームを危険映像につけ,接触の可能性が高い場合は赤のフレーム(点滅)をつけ作業用の詳細映像についている緑のフレームを消す.接触の可能性が非常に高い場合は作業用の詳細映像を暗くし,危険映像に赤のフレーム(点滅)をつける.また,接触の程度を可視化するため,接触の可能性がある場所にアローと相対距離を表示する.

VR環境において瓦礫を撤去する評価タスクを8名の被験者にて行った.アンケート結果から,遠近感を把握しやすくなることがわかった.また,誤接触回数を低減ことが示唆された.以上より,提案した注視支援システムを用いることで,認知的負荷を軽減し,安全に作業をおこなえるようになることが示唆された.