直感的な随意操作が可能な【第三の腕】の開発


<研究目的>


近年,失われた身体の補間を目的とするのではなく,新たな身体の獲得を目的とする身体拡張技術に対する注目が高まっています.新たな身体の獲得は,日常生活において人間が一人では行うことができない作業に対して,個別機器による対応ではなく能動的な作業支援を可能にするため,多様な環境における作業効率の向上が期待できます.そのため,本研究では,操作者の意のままに直感的な随意制御が可能な装着型ロボットアーム【第三の腕】の提案・実機開発を行うことを目的としています.


<研究成果>

概要

① デュアルタスクにおける顔面ベクトルを用いた目標物指示精度の検証

実際の使用場面において,操作者は【第三の腕】に「何を(O)」「どうするか(V)」を伝える必要があります.ここで,様々なモダリティのうち,両手を用いずかつ命令の自由度が大きい音声命令は有効な手段と考えられますが,Oの目標物指示に関して音声命令では操作者の意図が正確に伝達しにくい場合が多くあります(「青いコップ」≒「水色のグラス」?).そこで,我々は図に示すように操作者の顔中心から顔面に垂直前方へのびる仮想的なベクトルを顔面ベクトルとして定義し,そのベクトルと最初に交点を持つ物体を目標物として認識するインタフェースを提案しました.さらに,この顔面ベクトル方向に弱いレーザー光を発射し,現在の目標物を操作者が確認できるvisual biofeedback(vBF)システムを提案しました.


図1. 顔面ベクトル概念図


② 【第三の腕】実機開発

顔面ベクトルによる指示方法を基盤として,操作インタフェースおよび,【第三の腕】実機の開発を進めています.図2は,顔面ベクトル指示を実空間で可能にする「アイグラス型インタフェース」です.顔の向きと,顔中央から物体までの距離を計測するセンサが搭載されているため,装着することで顔の動きだけでロボットアームを制御することができます.


図2. アイグラス型


図3は【第三の腕】のプロトタイプです.人体に装着し日常生活で使用するため,全体重量は肩能動義手と同等の重量1500g以下,また一人で1分以内に着脱可能な装着の容易さで開発しました.アーム長は人間の腕と同等以上の70cmとし,樹脂パイプを3Dプリンター部品により接合しているため,パイプ長さを変えれば,容易に腕長さを変えることが出来ます.


図3. 【第三の腕】プロトタイプ



出典

  • 岩﨑 悠希子,岩田 浩康,「直感的な随意操作が可能な【第三の腕】に関する研究 -第二報:デュアルタスク状態における顔面ベクトルを用いた目標物指示性検証-」,第22回ロボティクスシンポジア,pp. 219-220 (4B1),2017年3月15~16日,群馬.(査読あり・口頭)